中国と日本の文化史は、深い関わり合いを持ち、長い歴史を辿ってきました。これまでの学術研究によって、両国間の関係史をより広く捉え、新たな研究上の問題意識を加える必要があることが明らかになっています。私は、両国の関連史料を広く読み、地域の伝承や風景を実感として受け入れることで、関係史を体系化することが重要であり、興味深く価値のある活動だと考えています。
この度、許賽鋒氏の『古代日本対外交流十五講』という本が出版されました。この本は時代順に分けられており、「倭五王の朝貢」「唐文化の受容」「明代の日本研究」といったテーマが章立てされています。著者は簡潔な文章で説明し、一つの本ではすべてを網羅することは不可能としながらも、「人」「物」「事」について話題として取り上げ、生き生きとした古代中日関係の全体像を描くことを意図しています。さらに、多くの人々や学生が理解しやすいように、写真なども多く使用し、工夫が凝らされています。この本は充実した内容を持ちつつも、詳細な注釈が付けられることによって、将来的にはより斬新な学術書として出版されることが期待されています。
私は2014年の秋に、許氏の案内で西安の絹の路の起点公園「絲綢之路群彫」を訪れたことがあります。その公園では大きな商隊の駱駝が西方に向かって嘶きながら描かれており、私はすぐに以下の歌を思い出しました。
「釈迦の御法は天竺に玄奘三蔵弘むとも深沙大王渡さずは此の世に仏法無からまし」
これは『梁塵秘抄』巻二・二七七番の今様という歌で、玄奘三蔵が大砂漠「莫賀延磧」を越えて求法の旅を達成したことを、夢に現れた鬼神・深沙大王が励まし手助けしたことを歌っています。この歌は、中国唐代の『大慈恩寺三蔵法師伝』が伝える物語の一節を歌謡化したものであり、さらに日本絵巻物の傑作である『玄奘三蔵絵』にも同じ場面が描かれていることが分かります。このように「伝説」「歌謡」「絵巻」という三つのジャンルが関わる課題があり、それが中国と日本にまたがる関係を示しています。この一例からも、中日関係史にはまだまだ興味深い事実が多く存在することがわかります。
以上は、奈良教育大学の名誉教授であり、日本歌謡学会の名誉会長でもある真鍋昌弘氏による意見です。
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