海を見る人

「あの年の夏祭りの夜、浜から来た少女カムロミと恋に落ちた。そして私たちは、あまりにも儚い約束を交わしました。なぜなら浜の1年は、こちらの100年にあたるのですから」。

この表題作は、場所によって時間の進行が異なる世界で描かれた冷酷な論理と奔放な想像力が混ざり合った切なくも奇妙な恋物語です。

また、同じくSF短篇を得意とする作家により描かれた成長物語「時計の中のレンズ」も収録されており、円筒形の世界を旅する少年の物語を通じて異世界七景が描かれます。

今回の珠玉の傑作集は、冷徹な論理と奔放な想像力が生み出した驚愕の異世界七景を堪能できる必-readの一冊です。

作者简介

1962年京都府生まれ。大阪大学基礎工学部卒。1995年、「玩具修理者」が第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞してデビュー。以後『人獣細工』『肉食屋敷』などの作品集で、緻密な論理とグロテスクなイメージを特徴とするSF・ホラー短篇の名手としての評価を確立した。2001年発表の長篇『AΩ』、2002年発表の本書で、日本SF大賞に連続ノミネート(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)